今年こそ改革元年にしよう
●手術を恐れていては衰弱死を待つのみです          2003/01/01

  新年あけましておめでとうございます。  新年を迎えて、「昨年は苦しかった。なんとか年は越せたが、このままでは来年はどうなるかわからない。 今年は絶対に経営改革しなければ・・・」と言う想いの経営者がほとんどだと思います。  しかし現実は「頑張らなければ・・・」「変えなければ・・・」と思うばかりで具体的にどういう対策を打てばいいのか五里霧中の状態なのではないのでしょうか?  今年もつめに火をともして景気が良くなるまでひたすら耐えるだけですか?  ひたすら「頑張ろう」と言い続けるだけですか?  私は経済学者ではないので今は「不況」ではなく「デフレ」であり、「21世紀はデフレの時代だ」といわれることについて論じる手立てはもっていませんが、「デフレ」状態が続くにしろいずれ景気の波は必ず打ち返してきますが、その景気の波はひたすら同じ経営を続けるあなたのところにはやってきません。景気の波は平等にやっては来ません。一部の革新者にのみ押し寄せてくるのです。単に身体に汗をかくだけの人にはもはやその波はやってこないと断言できます。  苦しくなってくると経営者は目の前のこと(特に資金繰りと売上)だけしか眼に入らなくなってきます。 ことしこそ「経営改革元年」にしようと決意しても1月も20日を過ぎる頃になるともう頭の中は目の前のことだけになります。 今すぐに以下のことを再確認してあなたと会社を俯瞰的に見直すことによって「経営改革元年」がスタートするのです。  経営革新の手順  1.自社が扱っている商品・サービス、技術をあなたが本当にすきかどうか。  2.再度、人生観・経営の目的・経営理念・ビジョンを確認する。  3・外部環境と内部環境における自社の強みと弱みの再確認。  4・@誰に対してA何をBどのようにして売るのか再確認。  5.マーケティング戦略のなかで特にプロモーション(販売促進)戦略の見直し。  このうち今回は[5]の販売促進について述べたいと思います。  ガッツ石松のCMのように「昔は笑顔と頑張りでやってこれたのに・・・」と愚痴をこぼすようになってはあとは会社が衰弱死するのを待つのみです。  確かにあのCMのように「笑顔と頑張り」で通用する時代がありました。しかし、その時代は商品が満足に手に入らなかったり、成熟した商品が少なかったため通用しただけのことです。  「すべての製品が技術的に、値段も、性能も、機能も同じになると想定している」ソニーの大賀典雄氏の言われるような時代に突入しているのです。  競合業者が無限にある今日、参入障壁となるべき製品・サービスやシステム(コア・コンピタンス)を持たない企業が残されているのは原価や経費を無視した価格戦争の戦場です。死にもの狂いで闘い生き残ったとしても傷を負い、体力を消耗してしまいます。  今、中小企業経営者にとって必要なことはこの戦場に参入しないことです。そのためには、身体はもちろんですが脳にもっと汗をかく必要があると思います。概して中小企業経営者は商品や技術については十二分に頭に汗をかいていると思いますがそれを販売することつまり「販売戦略」にはほとんど汗をかくことをしていないように思います。    ここで「売上」とは何かを少し研究してみましょう。売上を分解する式はいくつかありますが、ここでは次のようにしてみます。  売上=客単価×客数        ↓  売上=一品単価×買い上げ点数×既存客×買い上げ率  これは誰でもご理解いただけると思います。各項目が上がれば当然のことながら売上は上るはずです。 コア・コンピタンスがない企業が一品単価を上げることの難しさは皆さん百も承知でしょう。上げるどころか皆さんはほとんど必死の形相で単価を下げる作業に夢中になっています。割引セールとか原価を無視した受注とかで・・・。これが買い上げ点数や買い上げ率を押し上げる効果があると昔の経営セミナーで言われていたことが今でも通用すると考えているのでしょうか?  収入が下がり、情報が発達した現在消費者には防衛本能が身に着いていますのでおいそれとあなたの思うようには乗ってきません。「無駄なものを買わされてたまるか」と警戒しているはずです。あなただってそうではありませんか?  大賀さんが言われるように「すべての製品が技術的に、値段も、性能も、機能も同じ消費者が満足できる基準以上のもの」だとすると一品単価・買い上げ点数・買い上げ率を上げるのに汗をかくより、残りの一項目「既存客」に注目すべきです。  それは新しい顧客を創造し既存客にすることです。大企業ならいざ知らず、中小企業であるあなたの会社を知っている人や利用する人はわずかなのです。言い換えればあなたの会社の既存客にできる見込み客が無限にあるということです。  既存客を減らさないで固定客化することはもちろん重要で、カードシステムなどによる固定客化の情報は巷に溢れています。ということは誰もが気づいてやっているか、やろうとしているということですからその導入費用にくらべて効果の程は疑問です。  たとえがうまくありませんが、車のオイル(既存客)は段々減ってきます。その減ったオイルをきれいにして再利用していくだけ(固定化)ではいつか車が止まってしまいます。それなら皆さんはどうしますか?新しいオイル(新規見込み客)を入れるはずです。  新規見込み客を創造する費用は脳みそに汗をかけば僅かなものです。今必死に戦っている価格戦場にかける費用よりはるかに安くつきます。  ヒントは身近に山ほどあります。値段も、性能も、機能も同じ消費者が満足できる基準以下であるにもかかわらず、固定客などまったく創造する事もせず、売上を上げ、利益を上げている会社があります。  彼らは値段も、性能も、機能も同じ消費者が満足できる基準以下であるからこそ脳みそに汗をかいて新規見込み客を取り込む工夫をしています。  どんな会社?  マルチ商法・美容・健康などの悪徳業者です! 防衛本能が発達しているはずの消費者がなぜ購入に至ってしまうのでしょうか?  そこには防衛本能を消去していく販売促進戦略があり、見込み客を購買客に持っていく販売促進システムが確立されているからです。  この販売促進システムをあなた会社に導入するため今年こそ身体より脳みそに汗をかきましょう。  ヒントは彼らの広告に注目して下さい・・・とだけしか申し上げられません。 どうしても脳みそに汗をかくことが苦手な人はもう価格戦場で戦いつづけるか


















































「俯瞰塾」での私のアドバイスを参考にして下さい。
脳みそに汗をかこう
●頑張るだけでは通用しない時代に突入しました          2003/02/02

  最近の診断で感じるのは現在の経営者と先代の経営者の葛藤です。この葛藤が時として経営革新・経営再建・倒産対策の実行に景況を及ぼすことが少なくありません。  私への相談は現在の経営者である二世や三世の社長や専務という肩書きの方が多いが、初対面の際おおむね彼らの父親である会長や社長からは歓迎されないことが少なくありません。(もちろん多くの場合帰り際に心からのお礼のお言葉を頂くのがですが・・・) 特に昭和一桁から10年代生れの方の場合、戦後の食料不足・物不足の体験が身に染み付いておられる。彼らのハングリー精神、お金に対する執着心は後継者にとっては理解は出来ても、その体験をしていない以上真似は出来ないくらいの凄みがあるとさえいえます。逆に彼らが経営者として生き抜いてきた時代は、物さえあり、人より少しでも汗をかいて長時間一所懸命仕事し、倹約節約すれば生き残ることが出来た。彼らの多くは仕事とは「機械を動かしている」「人より早く店を開け、笑顔で接客し、人より遅く店を閉める」というような身体に汗をかくことなのであり、後継者がインターネットで情報を得たり、本を読んだり、セミナーに出席したり、私のようなコンサルタントから指導を仰ぐことは「仕事をしていない」「現場を大切にしない」と映るようです。  もちろん私は決して彼らの経営に取り組む姿勢を否定などしません。長い期間経営に携わってきた「知恵」をたくさん持たれています。その姿勢は経営の原理原則です。  しかしながら、「今年こそ改革元年にしよう」で記したように値段も、性能も、機能も同じ商品が溢れ、長時間営業があたりまえになった現在いわゆる「まじめに頑張る」だけではこの難局は乗り越えられません。なにぶん私たちがいる経営環境は彼らさえ経験していない時代なのですから、彼らに「知恵」が備わっていないはずです。  私は「知識」は行動することにより、その失敗と成功体験から「知恵」に変わると確信しています。「情報」から「知識」を獲得し、実践に移し、数々の失敗体験を経験して、はじめて成功したものが「知恵」となりうるのだと思います。  身体に汗をかくことは必要条件ですが必要十分条件ではないことを先代の方も後継者の方も理解していただきたいのです。  どちらの家庭でも父親と子供は口では罵り合っても、お互いの愛情はいつも感じているはずです。子供は「父親にこれ以上苦労することなく、安寧な老後を過ごしてもらいたい」と考え、父親は電気をこまめに消していないなどと思っても経営者である子供に対して「細かいことを言って経営に口出しするのは止めておこう」と考えています。しかしこの親子間の愛情が最悪の経営危機に陥るとマイナス作用ではたらくことがあります。  私の場合も会社の自己破産申請で私個人も自己破産しなければいけない状態でしたが、そうすれば名義が私になっている両親の住む古い家が差し押さえになり、年老いた両親が路頭にさまようことになります。私個人の再起は自己破産する方が早かったのですが「これ以上両親を苦しめたくない」想いから敢えて個人保証を債権者との短期返済交渉し返済する道を選び個人破産を選択しませんでした。この短期保証返済はうまくいったから良かったのですが、1日でも返済が遅れれば即差し押さえという性格のものでしたから3年間はハードなものでした。  相談先の中にも再建対策の遊休資産を売却案を出しても「この土地は先祖から守ってきた大切な土地」であるからと売却案を一蹴されることがあります。心情的には痛いほど良く分かりますが、私のケースのようにうまくいくとは限りません。体験した私だから言えますがたとえどのような生活になろうとも土地も家も命や家族の絆以上のものではありません。  ご先祖はこのようなときのために土地を残されてきたと思うのは間違いでしょうか?  人間的にまともな経営者ほど道義的な責任に苦しみます。守ろうとしすぎることが再建や再生の残された道を閉ざし、経営者を孤独にし、追いつめられて自殺や夜逃げなどという取り返しのつかない最悪の事態さえ考えてしまうのです。  閑話休題。  これからの経営は身体に汗をかくことは当然の上「脳みそに汗をかく」ことに尽きます。特に売上対策ではこれを避けては通れません。  















優良企業の経営改善に対する厳しい姿勢
●ここまでやるのか!?          2003/02/16

  私のクライアントは大きく分けて3つのグループに分けられます。  第1のグループは「短期顧問契約」を結ばれて経営再建に真っ向から取り組まれている企業。  第2のグループは「e診断塾」の会員企業で「初回問診」を受けられて相談を受けながらも独力で経営再建に取り組まれている企業や定期的な経営診断や投資・借入の際の相談を主な目的とされている企業などさまざまです。  さて第3のグループは現在2社のみですが(スケジュール的に3社までしか対応できない)「短期顧問契約」で「180日再建プログラム」を見事成し遂げられ、正常企業から健全企業、優良企業の道を歩まれている企業です。  今回はその内の1社の経営改善に対する姿勢について触れてみたいと思います。 M社(流通業)の社長は過去の経営危機の苦しい体験から二度とあの思いはしたくないと、それまでほとんど税理士任せであった財務管理について猛烈な勢いで勉強され、知識を習得されました(私も非常勤顧問として月3回訪問させていただきお手伝いさせていただきましたが・・・)。その知識は体験と融合することにより知恵となり大きな力を発揮するようになっています。M社社長の人生観や経営理念は明確ですから、単に守りに入っているだけではありません。新規投資も積極的に行いますが、必ず経営戦略に沿っているものであり、設備投資や借り入れに際しては私に予想財務諸表作成を依頼してくるだけでなく、綿密な投資計画書作成の手伝いを依頼してきます。投資や借入により現在の財務三表(PL/BS/CF)が悪化するのであれば計画は見直されます。現在M社は優良企業の仲間入りしていますので、多くの企業とは逆に金融機関からは融資の斡旋が後を絶ちませんが、M社はどのように新規投資が魅力的であったにしても以下の3つの柱が守れないのであれば、絶対に新規投資や新規借入を起こしません。  その経営戦略の3つの柱とは @ どんなに利益が出ようとも常に経営改善に取り組みつづける。   優良企業の経営改善といっても基本は「経営再建」の対策の5本柱と何ら変わりません。   (1)資金繰り対策(緊急ではないので「日繰り資金繰り表」ではなく「月次資金繰り表」ですが・・・)   (2)売上・利益率対策(「新販促システム」導入中です)   (3)資産・負債対策(売上債権・仕入れ債務・棚卸資産の変化に目を凝らし、ここから1円でも多くの現金を生み出す努力をされています)   (4)経費対策(これなどは正に「再建対策」と何ら変わりません。   (5)金融対策(親しいながらもビジネスと割り切った付き合いをされています。まちがっても甘いささやきに乗ることはありません) A 自己資本比率(当面目標50%)・経常利益率(当面目標10%)を際重点項目としこれが下がる投資や借入は行わない。しかも、現預金対自己資本比率を重要視して現預金以外の流動資産や固定資産が増えての自己資本比率アップは意味がないとまで言い切っている。 B 半期決算予想(予想ですよ)で経常利益率が3%を割る可能性が出たら、即「経営再建計画」を策定、実施する。 です。  昨年下半期は予想外の売上不振で経常利益率が3%を割り込みそうになりましたが、早速経費対策として、すべての経費の再チェック、自らの給与カット、社員の賞与カット(上げるときはもっと多額ですが)など、私も目を丸くするくらいの行動力でした。  「負の連鎖」の道を転げ落ちるのも早いですが経営再建を達成され正常企業になり、その苦しい体験を生かすことが出来れば「正(勝)の連鎖」の道も加速度的に広がっていくものなのです。  皆様方の中から第二、第三のM社が出現することを期待しつつ、皆様方のお手伝いをさせていただきます。



























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